なぜ浮気の証拠が必要なのか②

相手が浮気を認めている場合でも証拠は必要なのか

よくあるケースでは、浮気をした方が愛人に夢中になって、早く愛人との正式なお付き合い(または結婚)へと進みたいために、自ら浮気を告白して「離婚」を切り出すというパターンです。人によっては罪悪感から早く解放されたいだけという理由の場合もあります。(普通は「好きな人が出来た」とだけ認めて、まだ不貞まではいってないという嘘をつくズルい人の方が多いです。) いずれにせよ、パートナーの側から話を切り出す場合は、最初は別れたい一心で浮気を認めているだけの場合があります。正直に言えば分かってもらえるだろうとか、恋人同士の別れ話程度に軽く考えていたりとか、そもそも何も深くは考えていなかったりしている可能性もあります。その場合、話し合いの時点で不貞を認めていても、金銭や親権等の折り合いがつかず調停の場に移ったら、「そんな事は言ってない」と前言撤回し「不貞」を認めなくなる事があります。この場合も不貞を立証できるだけの証拠が無いと不貞が認められずに、不利な条件で離婚の協議を進めることになる可能性があります。こちらが証拠を掴む前に相手が浮気を告白してきた場合は、法律的に有効な文書の形で「不貞を認める内容」(期間、相手、回数等も記載させる)を残した方が良いでしょう。 また、不貞自体は潔く認めていても「相手」については一切話したがらない場合もあります。この場合はひとまず了解したふりをして、後日調査で相手を特定しておいた方が良いでしょう。 勿論、浮気を素直に認め傷つけてしまったことを謝罪し、復縁か離婚かあなたの意見を尊重し、「もし離婚を望むなら最大限の保証をする」という誠意を持った対応をする方も少なからずいるとは思います。しかし、最悪の事態も想定して万全の状態で解決に臨む事が望ましいと思います。

「不貞行為」の証拠があれば、離婚をしない事も選択できる。

浮気をされた側が離婚を希望し、浮気をした側が離婚したくないとは限りません。寧ろ浮気をした方が夢中になって愛人との将来を望み離婚をしたがるというケースが珍しくありません。また、浮気をされた側は、子どもの家庭環境や金銭的な理由、時には世間体などあらゆる角度から判断し、離婚を望まないという事も当然に考えられます。 前述したように、離婚は「夫婦の合意」が基本です。それでも離婚を強引にしようとすると、パートナーは離婚裁判を考える事になります。 ①配偶者に不貞な行為があったとき。 ②配偶者から悪意で遺棄されたとき。 ③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。 ④配偶者の強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。 ⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。 ①~④は離婚事由に該当しないとなると、⑤「その他婚姻を継続し難い重大な事由」を理由に離婚を求める事になります。別々の人間が共同生活をしているのですから、それこそ一方的な言い分を言われる事となります。 そんな時に不貞を立証出来る証拠を掴んでいると「配偶者が離婚したがっているのは、愛人の為であり、そもそも不仲の原因を作ったのは相手の方です」と主張する事ができ、判例も離婚原因を作った側(有責配偶者)の離婚請求を認めない立場をとっています。

「不貞行為」が認められないと

不貞行為と認められた場合と認められなかった場合はどういった違いがるのか。これは離婚裁判まで行った場合「配偶者の不貞」(民法770条1-1)が認められて離婚するのか、認められないで「その他婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1-5)を適用されて離婚するのかという事につながります。「離婚請求」に併せて提訴した「慰藉料請求」の行方にも大きく影響し、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」ですと、内容次第ですが、慰藉料が取れないか大幅に金額が少なくなってしまう可能性があります。 離婚裁判における「不貞行為の証明」がいかに厳しいものであるのかは、例えば、相手方配偶者が異性と旅行に行った場合でも、性行為の存在を認めるに不十分な場合には、1号の「不貞な行為」を適用せず、5号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。」を適用されてしまいます。 つまり、スマホでのメッセージのやり取りや愛人宅に入っただけでは、離婚裁判では不貞と認められない可能性があるのです。配偶者の不貞行為の証明が不十分だと、裁判で離婚が認められない場合が生じてしまいます。 前述したように、実際に離婚裁判をすれば「不貞」と認められる証拠を持っているという事が、裁判をする無意味さにつながり、話し合い(示談)で解決することにつながります。ですから当然、前段階の離婚調停や家庭での話し合いにおいても、「不貞行為(浮気)」を認めないということは、パートナー側は落ち度が無いと言い張ることになりますから、離婚したいのに離婚に応じなかったり、離婚したくないのに離婚に踏み切られてしまったりすることが考えられます。離婚に際しても、慰謝料の面で不利になるだけでなく、財産分与や親権でも対等な立場で争わなければならなくなってしまいます。