離婚の前に考えておくこと

離婚自体は両者で合意に至れば離婚届を出して受理されればそれで、完成です。離婚届に記入しなければいけないことは ・未成年の子がいる場合には親権者 ・婚姻前の氏に戻るものの本籍 の二点だけです。つまりその二点だけ決めておけば、離婚届を提出することは可能です。しかし実際の離婚では上記以外の様々な点について考えておく必要があります。もちろん離婚後でも決める事が出来るのですが、離婚してしまった後ではお互いの主張が噛み合わず話し合いがまとまらなかったり、中には所在が不明になって連絡が取れなくなったりするケースもあります。 離婚を急ぐと後回しにする方もいますが、お勧めはできません。 離婚の前に決めておく6つのこと ◆お金の問題  1. 財産分与  2. 慰謝料 ◆こどもの問題  3. 親権者(未成年の子がいる場合は必ず決めなければ離婚できない)  4. 養育費  5. 面接交渉権 ◆戸籍と姓の問題  6. 離婚後の戸籍と姓 ◇その他に考えておいた方がよいこと  ・離婚後の生活費の確保(特に専業主婦や離婚により職を失う場合)  ・離婚後の住居(婚姻中の住居にいられない場合)  ・離婚後の育児(仕事中こどもを預ってもらう必要がある場合)

財産分与

財産分与とは夫婦が結婚生活の間で協力して築いた財産(共有財産)を貢献度に応じて精算するものです。 さらにこの基本となる財産分与に以下の性格を加味(加算)することがあります。 ◎扶養的財産分与  離婚後の生活に不安が生じる側に対して、もう一方が生活をサポートする目的で加算する。扶養的財産分与が認められる為には、自分ひとりでは生計を立てられないという要因が必要です。 ◎慰謝料的財産分与  本来慰謝料と財産分与は別々に考えるものです。慰謝料が発生する場合、有責配偶者(離婚の原因を作ったもの)も、慰謝料とは関係なく財産分与を請求することが出来ます。しかし、2つを分けずにトータルで考えて慰謝料分を加味して財産分与をすることもで来ます。その場合加算して財産分与したものが不十分であったと認められない限り、別途慰謝料を請求できません。 ◎過去の婚姻費用の清算 精算割合 寄与度によって分割すると言っても実際はどの程度なのかが気になるところだと思います。お互いの職業の特殊性(医者など)や収入を考慮され前後することはありますが、凡その目安は以下の通りです。 ・妻が専業主婦の場合→妻30%~50% ・共働きの場合→50%ずつが原則 ・夫婦で家業に従事している場合→50%前後(特殊技能が影響) 財産分与の対象 結婚後にお互いの協力によって築いた財産は基本的に共有財産となります。結婚後に購入した家財道具、預貯金、自家用車、不動産、有価証券など名義に関らず対象となります。逆に親から相続、贈与を受けた財産、結婚時に持ってきた財産、結婚前から所有していた財産は、対象外となります。  財産分与は離婚成立後に請求することも出来ますが、特別な事情がない限り離婚と同時にに解決しておくべきです。どうしても離婚成立後に請求する場合は、「2年の除斥(じょせき)期間」に注意が必要です。期間を過ぎると請求が出来なくなります。

慰謝料

慰謝料とは、精神的な苦痛を与えた者に対する損害賠償です(民法710条)。離婚の場合の慰謝料は、離婚原因である有責行為(不貞行為や暴力など)をした者に対する損害賠償請求です。暴力を振るったり、不貞行為をしている場合にはどちらに責任があるかは明白で慰謝料の対象となり得るのですが、性格の不一致、信仰上の対立、家族親族との折合いが悪いなど、どちらに離婚の原因があるとは言えない場合や、どちらかに離婚の責任を負わせる要因が見当たらない場合には、慰謝料の支払義務が発生しません。  現実の慰謝料の支払いは、財産分与と合算する場合が多いです。また、考え方自体は慰謝料とは違うかもしれませんが、一方に離婚したい意志が強い場合、多めに支払って離婚に合意することもあります。