離婚の手続き(協議離婚・離婚調停)

取り決め事項も定まり、それを書面(離婚協議書、公正証書、等)にしたら、協議離婚する準備が整った事になりますので、離婚届を提出して離婚する事になります。 6つの事項が、夫婦間の話し合いで合意に至らない場合は(協議離婚出来ない場合)は、通常、離婚調停を行う事になります。(未成年の子の親権者と離婚後の戸籍と姓が決まっていれば、その他の面で合意できていなくても、離婚届をだして離婚する事は可能ですが、お勧めはできません。)

協議離婚

協議離婚とは
協議離婚とは夫婦が離婚について合意すれば、市区町村役場に「離婚届」を提出するだけで、離婚が成立する離婚形態です。
離婚届け提出の手続き
(1)「離婚届」用紙の入手
各市区町村役場の戸籍係にあります。すぐに入手できます。
(2提出先
 「夫婦の本籍地の市町村役場」または「夫婦の現住所の市町村役場」または「夫婦のどちらか一方の住民票がある市町村役場」です。「夫婦の本籍地の市町村役場」以外の場合は、「戸籍謄本」を添付しなければなりません。
(3)届出に必要な書類
 ・離婚届
 ・夫婦の戸籍謄本1通(夫婦の本籍地の市町村役場以外に提出する場合)
(4)離婚の成立
 離婚届が受理された日から効力が発生します。(離婚届を提出した日)
離婚届けの書き方
(1)署名・・・本人が自署で署名します。
(2)押印・・・認印で構いませんが、夫婦別の印鑑を使用します。
(3)親権者・・・未成年の子がいる場合には親権者を決め記入しなければいけません。
(4)婚姻前の氏に戻るものの本籍・・・離婚後に旧姓に戻る人の本籍を、「再び親の戸籍に戻る」か「新たに自分が筆頭者の新戸籍を作る」か選択します。
(5)証人の署名押印・・・当事者以外の成人の証人2名が署名押印します。親族、友人、知人など誰でも構いません。夫婦共通の関係者である必要もありません。
離婚前に決めておいた方が良い事
上記のように、離婚届けに記載する事は、「親権者」と「婚姻前の氏に戻るものの本籍」だけですが、それ以外にも以下のような事を決めておく必要があります。
(詳しくは→離婚の前に)

離婚調停

調停離婚
調停離婚とは
離婚自体が合意に至らない場合や、離婚自体は合意に達していても「お金」や「こども」等の条件面で折り合わない場合など、協議離婚が難しくなった夫婦は調停による離婚を考えることとなります。
調停では裁判と違って最終的な判断を下すのは当人同士です。家庭裁判所はあくまで話し合いの間に立って、解決に導いてくれるだけです。
離婚調停申し立ての手続き
(1)申し立てをする人
  夫または妻の夫婦どちらか一方になります。申立人といいます。
(2申し立てをする場所
  相手方の住所地の家庭裁判所となります。「相手方の」と言ったのは別居中や単身赴任中の場合があるからです。ですから、基本的には申し立てをしたほうが 相手方の方へ出向く形となります。その他にも夫婦間で合意が出来ている場合、「合意で定めた裁判所」でも良いことになっています。この場合「合意書」が必要になりますが、合意が出来ていれば遠方の場合など中立地に出来ます。
(3)申し立てに必要な書類
  ・申立書
   ※最寄の家庭裁判所で入手できます。
   ※家庭裁判所内の「家事相談」では記入の仕方なども教えてもらえます。
  ・夫婦の戸籍謄本1通
  ・その他話し合いに必要と思われる資料があれば添付する
   ※財産分与の対象となる不動産の登記謄本など
(4)申し立て費用
  調停申し立て費用は印紙代1200円、その他裁判所が呼び出しに使用する切手を予め納めます。(80円切手×10枚程度)
(5)申し立て方法
  上記書類と、費用を持参します。郵送でも可能です。
調停離婚の流れ
(1)調停の検討
 ・ 一方にしか離婚の意思がなく合意が出来ない場合
 ・ 離婚自体は合意だが、条件面で折り合わない場合
(2)家庭裁判所に離婚の調停を申し立てをする
(3)離婚調停の申し立てをしてから数週間で夫婦双方に調停期日を知らせる通知が届く
 ・1回目の調停は申し立てをしてから1ヶ月 ~1ヵ月半後ぐらいが指定されることが通常です。
(3)調停が始まる
 ・ 調停は、調停委員(男女1名ずつの2名)が中心となって話を進めていきます。夫婦が入れ替わりで調停委員と話をします。これを数回繰り返し1回の調停となります。時間は30分~1時間程です。待合室は通常夫婦別となっており、調停委員に呼び出され話をする時には相手は待合室にいますので、お互いに顔を合わせることなく、話し合いが出来ます。実際は廊下などでばったり会ってしまうことや、裁判所側の配慮が足りないこともあるそうです。DVなどでどうしても会いたくない場合はご注意ください。
(4)次回の調停期日が決められて終了となる。
 ・ 夫婦の都合を聞いたうえで大体1ヵ月後ぐらいが指定されます。
(5)指定された調停期日において数回にわたり事情聴取と事実確認が繰り返される。
 ・ 問題の程度によりますが、1ヶ月に1回ペースで調停が開かれた場合で調停成立までに6ヶ月~1年かかることが多いようです。
(6)調停委員による調整
 ・ 調停の最終段階では、離婚の合意をしたあとに、調停委員から財産分与や養育費など具体的な、「調整案」を提示されます。調整案に合意すると「調停調書」が作成されます。この段階になると2人の調停委員の他に審判官が加わったり相手方と一緒に調停室に入ったりします。
(7)調停の成立
 ・ 離婚そのものや離婚に関する条件等の調整案に双方の合意が得られると調停の成立となります。
(8)調停調書の作成
 ・ 調停が合意に達した場合は「調停調書」が作成されます。「調停調書」には離婚の成立も含めて財産分与や養育費や親権等、調停で取り決めた全ての内容が記載されます。「調停調書」には裁判における確定判決と同じ効果があります。また作成後は記載された内容については変更できません。
(9)調停離婚が成立
 ・ 市区町村役場に離婚届を提出します。
離婚調停の特徴
◇ 裁判とは違うので結論が出ないこともある
調停とは、あくまで「調停員」を挟んで行われる話し合いです。話し合いなので、両者の合意がなければ、解決には至りません。これを「不調」と言います。しかし話し合いとは言っても、裁判所と言う場所で行われること、経験豊富な調停員が話を聞いてくれること、当事者同士は対面しないことから、冷静に話が進められると考えられます。
◇ 合意に至った「調停調書」には確定判決と同様の効果がある
◇ 費用が安い
調停申し立て費用は印紙代1200円、呼び出しの為に使用する切手(約800円)です。
◇ 調停は非公開でプライバシーも守られる
調停離婚 Q&A
調停員とはどんな人ですか?
40~70歳の良識ある民間人2名とされています。
調停は相手の合意が必要だから、調停ではなく裁判したいのですが
はじめから離婚裁判をすることはできません。必ず調停の手続きを経なければいけません。これを調停前置主義といいます。
調停に出頭しないとどうなりますか?
基本的に調停は指定された期日に必ず出頭しなければいけません。どうしても出頭できない場合は出来るだけ早く担当者に連絡して、期日を変更してもらわなければなりません。申し立てをした側はこれで問題ないでしょう。もしも相手が出頭してこない場合、家庭裁判所は出頭しないものに勧告します。度重なる勧告にも応じない場合、調停は不成立となってしまいます。こうなると審判や裁判などに進むか、諦めるしかありません。
弁護士さんに依頼することも出来ますか
調停は原則として代理人を立てることが可能です。問題が複雑で専門家のサポートが必要だと感じる方は、弁護士さんと一緒に出頭します。なお弁護士さん以外の代理人を立てるときは裁判所の許可が必要となります。